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引き出された預金の返還を求めたい

相続財産調査や遺産分割協議の話合いの際に、被相続人の預貯金の取引明細を確認する中で、明らかにおかしいと思われる高額の預金の引き出しが発覚することがあります。

被相続人が認知症で判断能力がない時期であるにもかかわらず、被相続人に頼まれて引き出したとか、病院代や葬儀費用に充てるために事前に引き出しておいたという話にも関わらず、その分の支払は別になされている等、明らかに使途不明金ではないかと思われる引き出しがあった場合には、その詳細を確認したうえで、無断で引き出されたのであれば、正しく遺産分割協議を行うためにも、返還を求めることを検討されなければなりません。

では、どのように返還を求めていけばよいかについて、ご説明いたします。

1.どうやって、不審な引き出しをみつけるのでしょうか?

自分が予想していた被相続人の遺産の内容と、実際に相続が開始して、被相続人の財産を管理していた者(通常、同居していた相続人であることが多いと思います。)から開示された遺産の全容が大きく食い違っている場合には、勝手に遺産を使い込まれたのではないかと疑われることが多いと思います。

特に預貯金の残高が予想以上に少ない場合には、管理していた者が勝手に引き出しをしているのではないかと思われることになると思います。

その場合には、預貯金の取引履歴を照会して取り寄せることで、高額の引出し等の事実を確認することができます。

高額の引出し等の事実が確認できたときには、その時点の被相続人の健康状態、精神状態と合わせて検討することで、被相続人が依頼して引き出されたものか、管理者が勝手に引き出したものかを調査検討して明らかにすることになります。

勝手に引き出したと思われる相手にそのことを指摘するためには、言い掛かりと反論されないように、被相続人の入通院していた病院のカルテや介護保険の要介護度の認定資料を取り寄せることで、被相続人がどの程度の判断能力を有していたかを明らかにして、被相続人が引出しを依頼できるものではなかったことを、客観的な資料(証拠)を提示して指摘する必要があります。

また、逆に、たとえ勝手な引出しであったとしても、病院の入院費や手術費等の支払に充てた等正当な理由による引出しの可能性もありますので、引出しと支払が見合う請求書や領収証の提出を相手に求めてもらい、そのような資料の提出がないことも必要となります。

以上のように、

  • ①被相続人の財産の管理者(単に被相続人の預貯金の引き出しが可能であっただけの者という場合もあり得ます。)が、
  • ②被相続人の預貯金の引出しをして、
  • ③その引き出しには、被相続人は同意や依頼はしておらず、
  • ④引き出した預貯金に関して、正当な理由に基づく支払がされていない又は処分に関する妥当な説明がなされていない

という4つの要件を満たすのであれば、無断での引出しに該当し、返還を求めることができる可能性が高いものであると思っていただいて構いません。

2.相手が、無断引き出しを認めた場合には、どのようにして返還してもらえばよいでしょうか?

(1)相手が相続人の場合

無断で引き出した金銭を費消しており返還してもらうことが困難である場合であっても、遺産分割協議がまとまる場合であれば、無断で引き出した金額を遺産にプラスして遺産分割協議をすることができますので、その者の最終的な取得分から差し引くことで実質的に返還してもらったことと同じになりますし、そのような処理をすることが簡便で確実な返還方法となります。

もちろん、最終的に遺産分割協議によって定められたその者の相続分以上に無断引出をしているのであれば、その分については返還してもらう必要があります。

なお、相手に無断で引き出した金額を実際に返還できるだけの資力がある場合であっても、遺産分割に関して争いが長引く又は激しくなる可能性がある場合には、遺産管理者を選任する等して、無断で引き出された金額を遺産管理者の銀行口座に先に入金させる等してきちんと確保しておくほうがよい可能性があることには注意が必要です。

(2)相手が相続人ではなく管理者である場合

相手が相続人でない場合には、無断で引き出した金額を返還してもらわなければなりませんので、遺産管理用の銀行口座を用意して、そこに入金してもらう等して返還してもらいいます。

なお、一括で返還してもらうことが原則ですが、相手が一括で返還できず分割での返還を希望する場合には、分割条件(回数と金額)をきちんと定めて、万一、約定違反があった場合には窃盗罪や横領罪等で刑事告訴することを記載した債務承認弁済契約書を作成し、その契約書を強制執行認諾文言付き公正証書にしておき、きちんと返還しなければ、強制執行されかつ刑事告訴されるという心理的な強制力を持たせるようにすべきです。

無断引き出しを認めたものの任意で返還しようとしない相手に対しては、費用等がかかることにはなりますが、刑事の面からは窃盗罪や横領罪等で刑事告訴することを、民事の面からは不当利得返還請求訴訟等の裁判手続をとらざるを得ないことになります。

3.相手が、無断引き出しを認めない場合には、どうすればよいでしょうか?

相手が無断引き出しを認めない場合には、刑事の面からは窃盗罪や横領罪等で刑事告訴することを、民事の面からは不当利得返還請求訴訟等の裁判手続をとらざるを得ないことになります。

その場合には、前述のとおりの要件を満たしていることが必要となります。

すなわち、

  • ①相手は、被相続人の財産の管理をしていた者又は被相続人の預貯金の引き出しができた者である(相続人か否かは問わない。)。
  • ②相手は、被相続人の預貯金を引き出している。
  • ③相手の預貯金の引き出しに、被相続人は同意や承諾、依頼はしていない。
  • ④相手が引き出した預貯金に関して、相手から正当な理由に基づく支払又は処分に関する妥当な説明がなされていない。
  • という4点について、客観的に証明できなければ無断引き出しは認めてもらえません。

①に関しては、それほど問題にならないことも多いとは思いますが、相手が財産管理はしていないと反論する場合がありますので、被相続人と同居していて生活の面倒を見ていたかどうか等の状況から、財産の管理者であるか、又は、被相続人の預貯金の引き出しができる者であった(通帳・印鑑又はキャッシュカードの保管場所と暗証番号を知っている等)ということを証明する必要があります。

②については、取引履歴を照会すれば、少なくとも引出しの事実は明らかになります。

③については、引出し時点で、被相続人に正常な判断能力があったか、同意や承諾があったか等の事情について、カルテ、要介護資料の取り寄せや日記等の記載から証明していくことになります。

④については、正当な理由に基づく支払がされたという場合には、その支払が確認できる領収証等の資料の提示を求めることになりますし、「自分で引き出して貰っておいてください。」と被相続人に言われたというのであれば、その旨の内容が記載された客観的な資料の提出を求めることになります。

もし、そのような客観的な資料が提出されなければ、被相続人と相手との関係等から、そのような支払や贈与がなされることはなかったことを説明していくことになります。

客観的に内容が明らかな資料があれば、無断引き出しであるかどうかは割と判断しやすいものといえますが、家族間での贈与等になると、きちんと贈与契約書等の書面を残していることは少ないものですので、周辺事情からみてどう裁判官が判断するかということになりがちです。

そのため、民事訴訟を提起すれば、100%解決できるというものではないということについては、覚えておいてもらう必要がありますし、相続に長けた弁護士に依頼されるほうが確実です。

4.無断引き出しをした相手に、刑事罰を与えることはできないのでしょうか?

(1)相手が相続人の場合

無断引き出しをした者が、被相続人の配偶者、直系血族又は同居の親族であった場合には、刑が免除されます(「親族相盗例」といいます。)ので、残念ながら罪に問うことはできません。

被相続人の兄弟等で同居していない場合には、告訴することが可能ですが、最終的に検察官が公訴提起しなければ罪に問えない結果に終わる可能性があり、告訴等すれば絶対に刑事罰を与えることができるわけではないことには注意してください。

(2)相手が相続人ではない場合

被害届を提出する又は告訴する等の手続をとれば、刑事罰が与えられる場合もあります。

同居していない兄弟等と同様に、最終的に検察官が公訴提起しなければ罪に問えない結果に終わる可能性があり、告訴等すれば絶対に刑事罰を与えることができるわけではないことには注意してください。

5.無断で被相続人の預貯金を引き出されたと思われるのであれば、早急に大阪難波・堺市の相続に強い、法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください!

相手が被相続人の預貯金を無断で引き出したとしても、そのことを相手が認めないのであれば、任意で返還してくれる可能性はまずありませんので、訴訟を提起する等して早急に対応しなければなりません。

また、相手が任意で認めない場合の訴訟に関しては、弁護士でも難しいところがありますので、一般の方が自分で訴訟を進めていくことは、極めて不利な立場になると言わざるを得ません。

被相続人の預貯金を無断で引き出されたと思われるのであれば、早急に相続案件・調停・訴訟に長けた大阪・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください

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