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不動産を売却して現金で分けたい

遺産分割協議を進めていくに当たって,被相続人が所有していた不動産を相続人の誰一人として利用する予定がない等,不動産を相続人の誰かが取得する形ではなく,売却して売却代金を不動産全員で分けたいという方向で話が進むこともあります。

利用しない不動産を単に所有しておくよりは,売却して買受人に利用してもらうほうが,不動産の有効利用という点からもお勧めできる方法ではあります。

しかしながら,不動産は評価額も大きいものですし,不動産取引に際しては,様々な費用や税金がかかるものですので,安易に売却すればよいというものではありません。

ここでは,最終的に不動産を売却して相続人間で現金で分けたいと希望される場合に,注意すべき点などについてご説明いたします。

1.遺産分割において,不動産を売却して現金で分けることがあるのはなぜですか?

基本的に不動産というのは,価値が高い財産ですし,本来であれば相続人の誰かが取得する方向で話し合いが進むことが多いものです。

ただし,遺産が自宅不動産以外にほとんどないというような場合,誰も利用しない不動産がある場合,相続税の納税資金が不足する場合等に不動産を売却する方法を検討するケースがあります。

遺産が自宅不動産以外にほとんどないというような場合に,相続人の1人が自宅不動産を現物分割で取得するのであれば,他の相続人には何がしかの代償金又は代償財産を支払わなければ,話がまとまる可能性は低くなります。

しかしながら,取得を希望する相続人が代償金なり代償財産を渡せるだけの資力がない場合には,他の相続人が代償財産なしで遺産分割協議に応じてくれなければ,最終的には不動産を売却して売却代金を分けるしか方法がないことになります。

不動産を売却して現金で分けるのであれば,公平に財産を分けられることになりますので,その意味でも,相続人の合意は得られやすくなるのは確かです。

また,誰も利用しない不動産がある場合には,無理をして相続人の誰かが取得するよりは,第三者に売却するほうが不動産の有効活用も図れます。

相続人にとっても,取得できる現金が増え,なおかつ,その後の不動産の維持管理や固定資産税等の負担がなくなり,相続人にとっては負担軽減になる点は,メリットであるといえます。

相続税を支払う必要がある場合,納税資金は現金で用意する必要がありますが,資金の手当ができなければ,不動産を売却して売却代金を相続税の納税資金に充て,残りを分割するという選択をせざるを得ない場合があります。

2.遺産分割において,不動産を売却して現金で分けるにはどのような方法がありますか?

(1)換価分割による方法

遺産分割協議を成立させ相続登記を経たうえで,実際に不動産を売却して,売却費用等を精算したうえで,残額を相続人間で合意した割合で分けることになります。

最終的に現金を受け取るのは,不動産売却手続が完了してからになりますので,現金が取得できるまでに時間がかかる可能性があります。

相続登記に関しては,相続人全員の共有にする方法と代表者1人の名義にする方法があります。

共有にした場合には,売却の際の手続に相続人全員が関わらなければなりませんが,代表者1人の名義にすれば,代表者1人で売却手続を進めることができます。

なお,換価分割をする場合には,遺産分割協議書に,不動産売却代金の分配方法や換価分割を行うために代表者1人の名義にすることを明記していなければ,売却代金を受け取ったことが代表者から贈与を受けたものであるとして贈与税が課せられる可能性がありますので,注意が必要です。

(2)代償分割による方法

代償分割の場合には,不動産を取得する者が不動産を単独取得する代わりに他の相続人に対して代償金を支払うという形で遺産分割を成立させることになります。

当然ながら,相続登記は,不動産取得者単独での所有となりますし,その後の不動産売却にかかる費用や固定資産税の負担等は,不動産取得者が単独で負うことが原則となります。

また,代償金の金額に関しては,遺産分割協議成立の時点で売却代金と必要となる費用等を予想したうえで決めることになります。

ただし,予想通りの金額で不動産が売却できない可能性は当然ありますので,最終的に代償金で受け取った金額と,売却代金から支払った代償金を差し引いた金額とのバランスが取れないことになる可能性も否定できません。

代償金を受け取る相続人は,遺産分割協議が成立すれば,速やかに代償金を受け取ることになりますが,不動産を取得する相続人は,実際に不動産が売れるまでは,現金を受け取れないことになります。

3.それぞれの方法のメリットとデメリットを教えてください。

(1)換価分割による方法

換価分割による方法の場合,財産を公平に分割できるということが最大のメリットです。

不動産の売却にかかる費用や固定資産税の負担等に関しても,売却代金からまず清算して,残った金額を相続人で合意した割合で分けることになりますので,一部の相続人に過大な負担がかかることはありません。

また,不動産を売却することになりますので,その後の維持管理,税負担等の心配もなくなります。

相続税の負担に関しても,不動産の相続税評価額は時価よりも低くなりますので,申告前に売却して現金化するよりは相続後に売却できれば,相続税額を抑えることができる点もメリットの1つであるといえます。

一方で,換価分割による方法のデメリットとしては,次のようなものが挙げられます。

不動産売却には手間がかかります。

そのため,売却ができるまでは,現金を手に入れることができません。

その上に,売却代金について,相続人間で思惑が異なってしまうと,買い手が現れても価格が折り合わない等,売却のタイミングを逃してしまう可能性があることも否定できません。

また,換価分割の場合は,相続人全員が不動産を取得したうえでその不動産を売却したとみなされるため,譲渡所得が生じることになります。

そのため,相続人全員に不動産の譲渡所得が生じることになり,譲渡所得税が課せられる可能性があります。

居住用財産売却や空き家売の場合には控除が適用されるケースがありますが,換価分割のやり方によっては,適用される相続人と適用されない相続人が出ることもあり,その場合には,譲渡所得税の負担が変わってしまう可能性があります。

さらに,社会保険に関して,いわゆる扶養に入っている相続人については,所得が扶養家族の上限を超えてしまい,扶養を外れてしまうことになる可能性があります。

そうなると,自ら国民健康保険や国民年金に加入しなければならなくなり,保険料等の負担が増えてしまうことになりますので,注意が必要となります。

(2)代償分割による方法

代償分割の場合には,代償金を取得しても譲渡所得にはなりませんので,代償金を取得する相続人に譲渡所得税がかかることはありませんし,社会保険に関しては扶養から外れる心配もありませんので,その点は代償分割の方法をとるメリットとなります。

一方で,代償分割の場合には,不動産を取得した相続人は,その不動産を売却しないことには現金が手元に入ってきませんので,その方だけが,現金を取得する時期が遅くなるという不公平な状態になります。

また,代償金の金額を決める際には,売却代金,売却にかかる費用,譲渡所得税等を予想して決めることになります。
そのため,遺産分割協議成立の時点では,不確定な要素が多い状態で協議を成立させることになります。

実際の売却代金や費用等の金額が予想と大きく違ったときには,代償金を受け取った相続人と不動産を取得した相続人の間で,取得金額に差が出てしまい,後から不満がでてしまう可能性があることもデメリットといえます。

(3)どちらの方法を選択すべきでしょうか?

これは,ケースバイケースであると言わざるを得ません。
いずれの方法にもメリット,デメリットがありますし,相続人の皆様の生活状況等も各々違うものですので,具体的なお話を聞かなければ,決められるものではありません。

例えば,相続人間の仲が悪く,遺産分割に関しては,完全に平等にしなければ話が進まないというようなケースであれば,換価分割による方法が適していると言えなくもありません。

しかしながら,売却代金の折り合いがつかないことからなかなか不動産が売却できず,現金を取得できるまでに時間がかかったり,扶養から外れる話は聞いてなかった等と不満が出てきてしまうと,相続人間でのいがみ合いが続いてしまうことにもなりかねません。

一方で代償分割であれば,代償金を貰う相続人は遺産分割協議成立時点で代償金を取得することになりますが,不動産を取得する相続人は,先に代償金を払わなければならないものの,不動産を売却するまで現金を取得できません。

そこで,不動産を取得する相続人に,その点を納得してもらえるかという点も考慮すべきものといえます。

このように,不動産を売却して現金で分ける場合には,細かい内容を検討しながら,よりよい方法での遺産分割協議の成立を目指さなければなりません。

そこで,相続に強い弁護士や税理士に相談しながら,遺産分割の方法による収支のシミュレーションを行い,方向を決めていくことをお勧めするのです。

確かに弁護士や税理士の費用は必要になりますが,シミュレーションを行うことで,それ以上の利益を受けられる可能性が高いものです。

4.遺産分割において,不動産を売却して現金で分けることを考えておられるのであれば,相続に強い大阪・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイに

遺産に不動産があり,その不動産を売却して現金で分割するという方法を検討される場合,注意深く検討しながら最終的な方法を決定するように進めていかなければ,遺産分割協議が成立したとしても,その後も相続人間での争いが続いてしまうことにもなりかねません。

自分達だけで手続を進めようとせず,相続に強い弁護士や税理士に相談してもらい,収支のシミュレーションをしてもらいながら,話を進めていくべきです。

当事務所では,相続に強い税理士と提携しておりますので,相続税等の問題に関しても,安心してご相談いただくことができます。

遺産分割において,不動産を売却して現金で分けることを考えておられるのであれば,相続に強い大阪・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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