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遺産の使込みを疑われている

被相続人の生前に同居する,又は近所に住んで世話をする等していた場合には,被相続人の財産管理を任されることがあるかと思いますが,その中で,病院の入院費の支払等のために高額の預金引出しをすることになる場合があり得ます。

また,世話を続けてきたこと等のお礼にと,お金を引き出して受け取って欲しいと言われて,実際に引出しをされ受け取られるということもあり得る話です。

ただし,これが,被相続人の死亡時とそれほど時間的に離れていない場合には,勝手に引き出したのではないかと他の相続人から疑われる可能性が高くなることは間違いありません。

遺産の使込みを疑われないように,また,疑われた場合にどう対応すべきかについてご説明いたします。

1.遺産の使込みを疑われる場合というのは,どういう場合ですか?

被相続人と同居されている家族の方や,近所にお住まいで世話をされている方(家族の方,家族以外の方ともにあり得ます。)は,被相続人の財産管理を任されている場合があるかと思います。

特に,被相続人が高齢や病気で銀行等に出向くのが困難である場合等には,日々の生活の買い物から種々の契約締結や支払等を依頼されることもあるかと思います。

当然,通帳と印鑑又はキャッシュカードをお預かりになって,金融機関で引出しをされて支払等をされることになろうかと思いますが,日常の生活費や自動引落し等で使途が判りやすいものであれば,特に問題になることは少ないと思います。

しかしながら,日常,被相続人の近くにおられない他の相続人の方からすれば,そもそも被相続人が日常どのような生活をしているかが分からないことがほとんどです。

そのため,日常の生活費の引出しであっても定期的な引出しがされていたり,高額の引出しがなされた場合には,どうしても管理している人が,自らのために使い込んだのではないかということを疑ってしまうことになりがちです。

それ以外にも,株式等の有価証券類や不動産を売却されたりすると,多額の金銭が動くことになりますので,売却自体が必要なものであったかどうかについても,内容の確認を求められるのはある意味当然のことです。

もちろん,被相続人の生前に判断能力がしっかりしている中で,そのような支出が明らかになって問合せがなされるのであれば,被相続人自身に確認して,どのような出金であったのかどうかはハッキリさせることもできます。

しかしながら,被相続人の判断能力が著しく低下した状態や被相続人の死後にそのようなことが明らかになってしまえば,被相続人本人から確認することができませんので,どうしても争うようなことになってしまいがちなのです。

特に,被相続人の死亡の前後の時期に預貯金の引出しや資産の売却等があった場合には,その使途がどういうものであるか,相続人の方から確認を要求されることは当然のこととなります。

そのため,客観的な資料(領収証,契約書等)を基にしてきちんとした説明がなされなければ,遺産の使込みを疑われることになってしまうのです。

この点について,逆の立場から,遺産の使込みを疑う場合は【隠された遺産を調査したい】をご参照ください。

2.遺産を使い込んでいない場合,どのように反論すればよいでしょうか?

まず,あなたが,被相続人の財産管理には一切関わっていないという場合には,そのことをハッキリと主張し,被相続人自身が財産管理をしていた,又は,他の者が財産管理をしていたということを反論することになります。

被相続人が亡くなる直前まで正常な判断能力を有しており,被相続人自身が自ら財産管理をしていたという場合には,被相続人が残した日記やメモ,医療記録等を確認調査して,被相続人自身に財産管理能力があったことを説明しなければなりません。

また,他の者が財産管理をしていたという場合には,その財産管理者自身に説明させるか,そのことが明らかになる被相続人の日記・メモ等をもって説明しなければなりません。

次に,あなたが,被相続人の財産管理をしていた場合には,資産の処分や預貯金の引出しが,被相続人の依頼によるものである場合や正当な理由に基づくものであれば,当然のことながら支払った金額が確認できる領収証等の資料があるはずですので,それに基づいてその資金の使途についても説明することになります。

また,被相続人が依頼したことが確認できるような日記やメモ等があれば,併せて提示して説明することになりますし,引き出した金銭は被相続人に渡していたという場合であれば,どのような目的や使途で渡していたかということと,その時点で被相続人がその金銭を使える能力があったことを,日記や医療記録等を証拠として併せて説明することになります。

それ以外に,例えば,身の回りの世話をしたお礼に贈与を受けたというような場合には,その旨を記載した書面があれば,それを提示して説明することになります。

ところで,特に被相続人から贈与を受けたというような場合等,何の書面も残っていない可能性がありますが,金銭の動きに関する客観的な資料がないような場合には,それまでの客観的な状況(どれくらいの期間,どのような内容の介護等の世話をしたのか等)を詳細に説明し,出金された金額が妥当なものであることを他の相続人に理解してもらう必要があります。

このような場合であっても,被相続人の医療記録等,客観的な証拠となる資料は少しでも集めておくほうがよいことはもちろんです。

3.遺産を使い込んだと疑われないようにするためには,どういうことをしておけばよいでしょうか?

客観的な証拠となる資料がないことが,疑われることにつながりますので,書面による証拠を残しておくことが一番の対策となります。

そもそも自分が被相続人の財産管理をしていないのであれば,財産管理をする人が特定されている内容の書面を,被相続人か財産管理者から取得して,自分は関係がないことを明らかにしてください。

財産管理を引き受けるのであれば,最初に,被相続人に財産管理を任せる旨を記載した書面(委任事務の範囲を明記した事務委任契約書のようなきちんとした契約書であればよりよいのですが,単なるメモ書きであったとしても,何もないよりは,はるかにましです。)を書いてもらいます。

財産管理開始後は,毎回の出金毎にその金額と使途を記録しておき(レシートや領収証も併せて保管しておきます。),被相続人からの指示や依頼による場合には,その旨も併せて記載しておきます(被相続人がメモ等を記載してくれるのであれば,当然それらも保管しておきます。)。

もちろん,1か月の小遣いや生活費として,まとまった金額を渡すような場合であれば,包括的な記載であっても構いません。

また,高額な出金をする場合には,支払先からの領収証等が必要となることは当然ですが,被相続人の指示によるものであれば,その旨を記載した書面を残すようにします。

その他,住居の改装,修繕等で出金が必要な場合には,改装,修繕前の状態を写真に撮って残しておいて,必要であったことを説明する資料としてください。

贈与を受ける場合には,簡単なもので構いませんが,必ず贈与契約書を被相続人に書いてもらってください。

なお,被相続人の判断能力が低下してきた場合には,自分が引き続き財産管理を行うのであっても,家庭裁判所に後見や保佐の申立てを行い,家庭裁判所の監督下で財産管理を行ってください。

後見や保佐の申立てをしなければ,たとえ正当な理由に基づく出金であっても,被相続人の判断能力の低下をいいことに好き勝手に遺産を使い込んでいると疑われかねません。

つまり,簡単にいえば,被相続人のお金の出入りに関しては,後から問合せを受けた際にきちんと説明できるように,その都度,内容を記載した書面と領収証等,できるだけ数多くの客観的な資料を残しておくということが,大事であるということです。

面倒と思われるかもしれませんが,他人の財産を管理するということは,それ位の責任と義務を負い,少しでも不明な点があればとことん追求されるものであると考えてください。

4.もし,遺産を使い込んでしまった場合には,どうすればよいでしょうか?

(1)相続人の場合

やむを得ない事情があったにせよ,遺産の使込みをしたのであれば,そのことを遺産分割協議の際に正直に話したうえで,自分が使い込んだ金額については差し引いて遺産分割協議を行う方向で進めるべきです。

相続人の場合,遺産分割協議や調停で話し合えるのであれば,それ以上の大事にはならずに済むものと思われます。

(2)財産管理者である第三者の場合

財産管理者である相続人ではない第三者が被相続人の遺産を使い込んだ場合には,犯罪行為に該当しますので,刑事の面からは窃盗罪や横領罪等に問われ刑事罰を受ける可能性が高いものです。
また,民事の面からは不当利得返還請求訴訟や不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起されることになります。

使い込んでしまった遺産に関しては,早急に返還し,相続人が宥恕(罪を許すということです。)してくれることを望む程度のことしかできないものと思ってください。

5.遺産の使込みを疑われてしまったら,早急に,相続に強い大阪・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイに

遺産の使込みを疑われてしまった場合に,的確な反論ができないまま互いに感情的な言い争いになってしまうと,「これ位はあったはず」というような抽象的な疑いばかりを主張されてしまうことにつながってしまい,遺産分割協議がまとまらなくなる可能性は高くなります。

的確な反論をするためには,客観的な資料の読込みと法的な理論構成が必要となります。

遺産の使込みを疑われてしまったら,一人で悩まれることなく,早急に,相続に強い大阪・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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