父Aさんが亡くなり、その後すぐに母Bさんも亡くなりました。姉Cさん(長女)はすでに他界していたので、相続人は依頼人のXさん(長男)、姉Y(次女)さん、Cさんの相続人であるDさん及びEさんでした。しかし、Dさん及びEさんは自らの相続分をⅩさんに譲渡したので、相続人はXさんとYさんのみになりました。
また、Yさんは相続権の放棄を条件に両親(以下、被相続人Aさん、Bさん)から生前贈与を受けていました。
そこで、Xさんとしては残りの相続財産である土地及び建物を穏便に単独相続をしたいと考え、ご相談にいらっしゃいました。
被相続人Aさん、Bさんの遺産は自宅である土地及び建物のみでした。
Xさんは、Yさんが被相続人Aさん、Bさんから相続権の放棄を条件として生前贈与を受けていたため、残りの遺産である不動産を単独相続したいと希望していました。
弁護士は、まず遺産分割協議により解決しようとYさんへ協議書への同意を求めました。しかし、Yさんの同意が得られなかったことから、裁判所に遺産分割調停を申し立てました。
ところが、Yさんが遺産分割調停に出席しなかったため遺産分割の審判がされることになりました。
弁護士は遺産分割の審判において、Yさんが両親から生前贈与を受けており、これは特別受益に該当すると主張した上で、残りの財産はXさんが単独相続したい旨を主張しました。
弁護士が主張した特別受益の主張について、裁判所は、Yさんが両親の生前に受けた金銭の受領は、特定の相続人が遺贈を受け、婚姻若しくは生計の資本を受けた場合の利益である特別受益に該当すると認定しました。
その上で、相続財産が性質上分割することができない不動産であるため、Yさんの法定相続分からYさんが受けた特別受益の額を引いた金額を代償金として、XさんがYさんに対して支払うことでXさんの単独相続が認められました。
本件のように、不動産という分割することができない遺産を単独相続したいという場合は、共同相続人とトラブルに発展するケースが少なくありません。
このような場合、弁護士が交渉に入ることで、できるだけ穏便な方法で解決していくことができます。相続についてお悩みの方は、ぜひ一度、弁護士にご相談にいらしてください。