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預貯金,有価証券等の名義変更をしたい

遺産分割協議において話合いをして,取得する遺産については,不動産以外にも,現金,預貯金,株式,投資信託,自動車等色々な財産があることと思います。

遺産分割協議が成立した後には,実際に各々の遺産の名義変更等の手続を取ることになります。

不動産の名義変更が一番大変ではありますが,それ以外の財産についても,各々必要な手続が異なってきますので,事前に手続方法を知っていないと,二度手間になりかねません。

ここでは,預貯金と株式,投資信託,国債,ゴルフ会員権等の有価証券の名義変更についてご説明いたします。

1.名義変更の際に,原則として必要となる書類を教えてください。

実際に遺産の名義変更等の手続をする場合には,各申請先に提出(又は提示)する必要がある書類は概ね共通していますので,基本的に名義変更する際に用意しなければならない書類をまず説明いたします。

① 遺言書(検認が必要な遺言書は検認済証明書が合綴されていることが必要です。),遺産分割協議書,調停調書,審判書

誰がその財産を取得するのかを申請先が確認するために必要となります。

遺言書に関しては,検認済証明書付遺言書の原本,公正証書遺言であれば正本又は謄本(現在,基本的には正本でも謄本でも手続はしてもらえることがほとんどですが,念のために,謄本でも手続を進めてもらえるかの確認はしておいてください。),法務局保管の自筆証書遺言については遺言書情報証明書の原本が必要となります。

遺産分割協議書については,印鑑証明書が添付された原本が必要となります。

調停証書,審判書については,正本の原本が必要となります。

② 戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)一切又は,法務局に申請した法定相続情報一覧図の写し

遺産分割協議書や調停調書,審判書で手続する際には,そこまでに,相続人全員が確定できるだけの戸籍等謄本(全部事項証明書)を収集し終わっているものと思います。

そこで,収集した戸籍等謄本(全部事項証明書)全部を提出するか,法務局に申請した法定相続情報一覧図の写しを提出することになります。

なお,遺言書による場合には,遺言者(被相続人)が死亡している事実と受遺者の確認ができる戸籍等謄本(全部事項証明書)だけで受け付けてもらえる場合もありますが,特に金融機関に関しては,遺言書があっても,戸籍等謄本(全部事項証明書)全ての提出が必要であるとするところもあります。

事前に申請先に問い合わせて,必要な戸籍等謄本(全部事項証明書)を確認しておくことが必要です。

また,必要な戸籍等謄本(全部事項証明書)を揃えて,法務局に法定相続情報を申請している場合には,法定相続情報一覧図の写しを提出することで,戸籍等謄本(全部事項証明書)の代わりとすることができます。

ただし,戸籍等謄本(全部事項証明書)の提出に限ると言われる場合がないとも限りませんので,念のため,申請先に法定相続情報一覧図の写しでよいかを確認してください。
(現在,ほとんどの金融機関で受け付けてもらえます。)

③ 取得する相続人の印鑑証明書

ここに記載している財産の名義変更等が必要な場合には,押印する印鑑は実印であることを要求されることがほとんどですので,印鑑証明書は事前に用意しておいてください。

なお,遺産分割協議書で手続する場合に,遺産分割協議書に添付された印鑑証明書で足りるのか,別途提出する必要があるのかについては,各々申請先に事前に確認しておく必要があります。

④ 提出した書類が返却されることを,事前に必ず確認しておいてください。

基本的に,上記の書類に関しては,提出した書類が返却されますが,万一,提出した書類を返却してもらえないことになれば,それ以外の手続が進められないことになりかねません。

特に,不動産の登記に関しては,原本還付の申請をしていなければ,返却してもらえません。

遺言書を再度取得することは不可能ですし,遺産分割協議書等も再度取得することは困難が伴います。

そのため,取り切られてしまう書類と返却してもらえる書類を確認し,返却してもらえる場合には何らかの手続が必要であるかどうかについては,念のために,必ず確認してから手続してください。

2.預貯金の名義変更の方法

預貯金に関しては,実際には名義変更ではなく,一旦解約してその金額を取得する相続人に支払う形がとられます。

例えば,昔の利率が高かった時期の定期等の預貯金を解約せずに,そのまま名義変更したいという相談を受けることがありますが,原則として,名義変更ではなく,一旦解約して払い戻される形になります。

預貯金の解約・払戻しに関しては,各金融機関専用の相続手続の書類に記載しなければなりません。

また,金融機関によって,相続専用の部署で手続するか,支店毎に手続するかが異なりますので,財産調査の時点で,実際の解約手続の申請先の確認と申請書類の取得をしておいてください。

必要な書類としては,金融機関毎に微妙に異なる場合がありますので,事前に確認して手続を進めてもらうことになります。

原則としては,各金融機関専用の相続手続書類と,上記1.記載の書類以外には,通帳やキャッシュカードがあれば,併せて提出しますが,無ければ紛失した旨の届出をすれば手続を進めてもらえます。

なお,預貯金に関しては,代表者等に委任することで,その人1人で手続を完結させることが可能です。

3.株式,投資信託,国債等の有価証券の名義変更の方法

株式等の有価証券に関しては,取得する相続人名義の口座に,被相続人の口座で保管している有価証券を移管するという流れで手続が進みます。

そのため,相続人側で証券会社の口座を有していない場合には,新たに口座開設をしなければなりません。

これも,証券会社毎に専用の手続書類がありますし,相続専用の部署で手続できる場合と取扱支店でしか手続できない場合がありますので,財産調査の時点で,証券会社に問い合わせて実際の手続先の確認と手続書類の取得をしておいてください。

また,株式が非上場株式の場合には,証券会社で取引されませんので,各々の株式会社にて名義変更の手続をする必要があります。

非上場の株式会社の場合には,各々の株式会社に連絡したうえで,段取りを確認してもらい,手続を進めてください。

必要書類に関しても,申請先専用の手続書類と上記1.記載の書類があれば,原則として手続を進めてもらえます。

投資信託や国債に関しては,銀行でも取り扱っていますが,基本的に流れとしては同じものとなりますので,銀行で相続人名義の口座を新たに開設しなければならないことがあります。

なお,銀行によっては,投資信託や国債があるときには,相続手続全てを取扱支店でやらなければならない場合がありますので,銀行の取引内容の通知書等で投資信託や国債が含まれている場合には,まずは,取扱支店に問い合わせてください。

また,有価証券の名義変更に関しては,証券会社,銀行ともに,口座開設等で必ず取得する本人が手続しなければならないところがあります。

つまり,代理人や代表者に手続を委任していても,全て委任者に任せて手続を進めてもらえず,取得者本人が何らかの手続を取る必要があるものと思ってください。

そこで,取得者本人が自筆で書類を作成して郵送で手続を取るか,実際に取扱支店まで出向いてもらって手続してもらうような流れになります。

4.ゴルフ会員権の名義変更の方法

ゴルフ会員権についても,会員の死亡によって会員としての権利が消滅するタイプのものを除き,相続の対象となりますので,名義変更等の手続が必要となります。

ゴルフ会員権の場合には,利用予定がなく売却するつもりなのか,取得して引き続き会員として利用する予定なのかによって,手続等が変わってきます。

会員権を売却する場合には,専門のゴルフ会員権販売業者を通じて売却することになりますが,一旦,相続人の誰かに名義変更をしてからでないと売却できない場合は,そのゴルフ場において名義変更手続を取って売却する手続をすることになります。

この場合には,名義変更料がかかりますし,その後売却した際に譲渡所得税が課せられる可能性があります。

引き続き会員として利用予定であれば,名義変更手続を取ることになりますが,ゴルフ会員権を取得する際の入会審査がありますので,それをクリアしたうえでなければ名義変更はできません。
この場合にも名義変更料がかかります。

名義変更に関しては,各ゴルフ場によって手続方法が異なりますので,ゴルフ場に問い合わせて必要書類等を入手したうえで手続することになります。

当然ですが,相続による名義変更ですので,上記1.に記載した書類は用意しておく必要があります。

5.相続に強い大阪・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイに

遺産分割に関しては,相続人や遺産の調査に始まり,遺産分割協議から成立後の実際の分割手続と多くの手続が必要になります。

役所や法務局,金融機関等,平日の日中でなければ手続が取れないものも多く,一般の方が全て自分達だけで行うことは時間的にも大変なことが多いものです。

遺産分割の手続に関しては,相続に強い大阪・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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